ゲーム&トロコン概要 | |
プラチナ達成時間 | 約5時間 |
値段 | 2,970 円 |
難易度 | 1 / 5段階中 |
時限要素 | なし |
備考 | 鍵っ子 |
PSストアリンク | LOOPERS |
本編を1回終わらせた後に見るぐらいがちょうどいいかもしれません。
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本編を真っすぐ駆け抜け、そして選択肢がないからこその良作でもある『LOOPERS』(ルーパーズ)概要
key開発、株式会社プロトタイプ販売のキネティックノベル(公式サイト)です。
キネノベとは何かと簡潔に説明すると
- 全年齢向けのノベルゲーム
- ギャルゲーではなく、ストーリー重視の電子小説
- ダウンロード販売がメイン
- ビジュアルノベルと違い、途中でストーリー分岐(選択肢)はない
という作品群であり、もともとは2004年に発足した割と歴史のあるジャンルなのです。
今回のキネノベとはちょっと違いますけど、TYPE-MOONの怪奇ビジュアルノベル『魔法使いの夜(まほよ)』も選択肢が全くない1名作として知られていますね。
(※ なぜ分岐がないのかというのが物語の骨子でもある)
分岐がないことで「手抜き?」と思われるしれませんが、”まほよ”は終始第三者視点で物語が進み、ストーリーラインも1本であることを利用した、巧みな展開がウリの作品となります。
一方、LOOPERSは分岐が発生してしまうと、かなり読後感が薄れてしまうようなゲームでありました。
あのテンポの良さが心地よい余韻を生み出している感もあり、賛否あれど個人的にはこの形でよかったような気がします。
いろいろ挑戦してるエ〇ゲー業界
本作を開発したkeyは株式会社ビジュアルアーツの代表的なゲームブランドになります。
元々の主戦場はアダルトゲーム業界であり、2000年頃に『ONE 〜輝く季節へ〜2』『Canon』『Air』を製作して”泣きゲー”メーカーとしての地位を確立しました。
ですが、あれから約20年。
世の中は人口減だ、タイパだ、収入減だ、同人ゲーの台頭だ、ダウンロード販売だ、個人のPCは持たない時代だ、といろいろな状況も重なって、業界を巡る環境もいろいろ変化しました。
市場が今も活況なのか、それともピークは過ぎたのかということに関して言及は控えますが、少なくとも新作フルプライスソフトの売り上げ占有率が低下しているのはそう違いはないと思います。
つまり、生き残るためにもアダルトゲーム業界以外で稼ぐ必要も出てくるでしょう。
例えば制作集団「ニトロプラス」は早い段階でプラットフォームを問わず活動を続けていました。
ホークアイこと「みなとそふと」は体力のあるうちに海外展開を発表していますし、「アージュ」は”マブラヴ”1本から凄まじい量の作品が派生しています。
もちろん、エ〇ゲを実直に頑張っているブランドも存在しており、あえてハイペースで出すことで利益をあげている「アトリエさくら」の例もあります。
また、最近はエ〇ゲ発のアニメを見ないな…と思ったら、まどそふとが『ハミダシクリエイティヴ』の映像化に向けたクラウドファンディングをおこない、話題となりました。
そして昨今の他業種への進出といえば、まず最初に思い浮かべるのがソーシャルゲームでの活躍。
自社IPのアプリゲームがヒットしている「Lilith(対魔忍)」「アリスソフト」「オーガスト」なんかはその代表例といえるでしょう。
今やアニプレックス(ソニーG)の屋台骨となっているFGOも、元々は2004年に販売されたアダルトゲームがはじまりとなっています。
エ〇1本で頑張るメーカーも勿論素敵なことなんですが、フルプライス作品が主軸だった大手は(Leaf、key、アリスソフトなど)ブランド縮小を考えない限り、外界へ打って出る必要があるのではないでしょうか。
ビジュアルアーツがテンセントの完全子会社になる
様々なゲームブランドが軒を連ねるビジュアルアーツ(以下、VA)も、資金繰りが大変だったことだと思います。
かつての主軸だったエ〇ゲー部門は、2022年にイープロダクトへ権利を承継していました。
DMMがFANZAを別会社にしたことでブランドイメージの向上をはかったように、VAもまた一般企業と取引がしやすいように事業の整理を行っています。
そんな中、keyのスタッフが制作するゲームアプリ『ヘブンバーンズレッド』が大ヒットを記録。
見事、VA過去最高益を更新した状態でテンセントに株式譲渡することができました。
今まで何かと気苦労が絶えなかった馬場社長、どうもおつかれさまでした。
他社の傘下に加わって悲しい人もいるかもしれませんが、テンセントはアンリアルエンジンことEpic Gamesの主要株主であり、ニーアのプラチナゲームズとも資本提携を結んでいるほどの大企業です。
当面は資金繰りの心配がなくなり、コンテンツの制作に集中できる環境が手に入ったと見れば、ファンにとっても悪くないのではないでしょうか。
まあ、要するにだーまえの体調は大丈夫なんか、って話なんですが。
『LOOPERS』作品&トロフィー概要
本作はPC、Android、iOS、Switch、PS4、Steamにて配信中。
トロフィーのリージョンは全世界共通です。
操作説明
ボタン配置【PS5】 | |
L・Rスティック | ウィンドウの非表示とチャプタージャンプ |
方向キー | カーソルの移動 |
○ボタン | キャンセル |
×ボタン | 決定 |
□ボタン | バックログ |
△ボタン | システムメニュー |
L1・R1ボタン | ページ切り替え |
L2・R2ボタン | 機能なし |
タッチパッド | オートモードのon / off |
R3ボタン | 日・英・中の言語切り替え |
OPTIONSボタン | クイックセーブ |
※ ボタン配置は初期設定のものを掲載しています
事前知識
注意すべき点は何もありません。
ただ普通に物語を読み進めていってください。
エンディング後にタイトル画面へ戻り、それぞれ「MUSIC」「GALLERY」「CHAPTER」を1回ずつ開けばトロコンとなります。
トロフィーコンプリートの流れ
- 最後まで物語を読み進める
- タイトル画面に戻り、それぞれ「MUSIC」「GALLERY」「CHAPTER」を1回ずつ選択
- トロコン
トロフィーのリストは完全にネタバレとなってしまうため、ここではあえて掲載しません。
フルボイスを飛ばさずにじっくり堪能すると約6~8時間、駆け足で読み進めると大体4~5時間ほどで終わると思います。
話が面白いのかちょっと確認しておきたいという人は、android / iOS / PCでそれぞれ体験版が配信されているため、軽くプレイしてみるのもいいのではないでしょうか。
ややネタバレを含む雑感など
特に攻略も必要ない作品ですし、このまま記事を終えるのも少し寂しいので、ストーリーについて軽く触れていきたいと思います。
ここから少しでもネタバレを食らいたくない人は、速やかにブラウザの閉じるボタンを押してください。
綺麗な竜騎士07
本作でシナリオライターを務めるのは竜騎士07さん。
ホラーADV「ひぐらしのなく頃に」でおなじみの人ですね。
人によって評価が大きく割れるライターですが、個人的には”癖はあるが面白い”という印象が強い人ですね。
ADV『ゲロカス』『かまいたちの夜 輪廻彩声』は顔をしかめるような展開が続く中で、最後は見事な着地をやってのけた印象があります。
今回はkey所属の高田Dの監修もあり、飛び道具的な展開はほぼ却下となったんだとか。
それにしても竜騎士07さん、普通のお話も書けたんだな(失礼)…と感心してしまいました。
今回はオープニング(冒頭)からもう、凄まじいフリがあるんですよね。
ぜっっったいにここは終盤に出ますよ、とカンが鈍い人でも分かるぐらいの王道。
登場人物は全員明るくて嫌なやつは一人もいません。
しかし、王道の中に”探し女”という少しのホラーを足してくるのがうまいバランスだと感心してしまいました。
メーカーが手綱を握りつつ、竜騎士07節がうまく炸裂した好例というわけですね。
”key”というネタバレを見事に飛び越えてくる展開がお見事
本作のジャンルは事前に「宝探し × ループもの × key」ということが発表されていました。
ループもののお約束に加えて、この時点で既に
- ヒロインが難病で明日〇ぬかもしれないから、今日をループしてる
- 主人公がヒロインに向かって「本当の宝はお前だったんだ!」と言うこと
は分かってしまうわけです。
他の竜騎士07作品は先がどうなるか分かんないことだらけですけど、本作は結構重要な部分をあえて先に読ませて、なおも楽しめる。
ちなみに最後までプレイするとOPの意味が分かるというギミックも健在ですので、ED後の余韻のあとにもう一度OPムービーを見るのが良いと思われます。
その映像も2段階あるので、それぞれギャラリーから復習しておくとなお良いですね。
「ジオハンティング」という遊びは現実に存在する
正確には「ジオキャッシング」という名前になりますけど、この遊びは現実に存在しています。
劇中ではタイラがヒルダに向けて丁寧にルールを説明してくれていましたが、そのままの形でリアルでも遊べるというわけですね。
ちなみに竜騎士07さんはこの遊びをご存じなかったそうで「宝探しは徳川埋蔵金しか知らんなぁ…」と思ったとかなんとか。
だから、オープニングに不自然な形で埋蔵金が出てくるんだ…と納得しました。
近年ブームのシティポップ風デザイン
シティポップといえば、近年、山下達郎や竹内まりやといった担い手が海外でも大ヒットを記録。
そして日本にブームが逆輸入され、国内でも若年層を中心にリバイバルヒットを呼び込みました。
その楽曲に採用されたジャケットデザインも同じくシティポップと呼ばれるのですが、本作LOOPERSにもその影響が伺えます。
本作のストーリーは十分にkeyの王道を行ってたと思うのですが、keyっぽくないと言われる所以はこの辺りの見た目にあるのかと思いました。
望月けいさんの美麗なグラフィックも見ていて目の保養になりますし、往年のファンに向けて、いたる絵のONEリメイクもありますし、鍵っ子は今も昔も楽しめる…はず。
全てのトロフィーを獲得(全てのトロフィーを獲得)
あとがき
毎年8月1日はLOOPERSの日ということでよろしいでしょうか。
特に攻略が必要ない作品なので、駄文でページを埋めてみました。